ETFを理解する:現代のポートフォリオの基本構成要素
株式市場を眺めて「いったいどこから始めればいいの?」と思ったことはありませんか。個別株を選ぶのは、味を知らないまま箱からチョコを一つ選ぶようなもの――ワクワクするけれど、少し不安でもあります。
そこで登場するのが上場投資信託、つまりETFです。勝ち銘柄を一つずつ探す代わりに、ワンクリックで出来上がった投資“バスケット”を買えるのです。シンプルで効率的――そして、静かに最も人気の投資手段の一つになった大きな理由でもあります。
コンセプトの解説
要はこういうことです。投資信託(ミューチュアル・ファンド)と個別株が子どもを産んだら、それがETFです。
ETFは株式や債券、ときにはコモディティまで、さまざまな資産を詰め込んだ“ファンド”ですが、取引は株と同じ。アップルやテスコの株と同じように、市場価格で取引時間中ずっと売買できます。
ETFの1口(1株)を持てば、そのバスケットの中身すべてを少しずつ保有することになります。これが妙味です。1社にすべてを賭けるのではなく、自動的に数十、場合によっては数百の銘柄にリスクが分散されます。
多くのETFはFTSE 100やS&P 500のような主要株価指数をそのままなぞるだけなので、高価な運用者が常時見張っている必要がありません。手数料は低く、手間も少ない。面倒な作業なしで分散投資が実現します。
実践的な活用法
たとえばテクノロジーに期待しているけれど、AI競争でどの企業が勝つか当てるプレッシャーは負いたくないとします。テック特化型ETFなら即解決――マイクロソフト、アップル、エヌビディアなどを一度の取引でまとめて保有できます。どれかがつまずいても、他がバランスを取ってくれます。
あるいは市場全体を追跡したいだけかもしれません。ETFひとつでS&P 500の主要企業すべてにエクスポージャーを持てるので、選別や迷いは不要です。
そして近年、ETFは広範な市場だけではありません。クリーンエネルギー、ヘルスケア、金、さらにはブロックチェーンなど、テーマ型も豊富です。金の延べ棒を金庫に詰め込まずに金価格へ投資したい? そのためのETFもあります。
今それが重要な理由
ETFは1990年代から存在しますが、ここ10年でニッチから主流へと躍進しました。いまや世界全体で運用資産は14兆ドル超――それには理由があります。
インフレや金利、急落のニュースが飛び交う今日の市場で、ETFは“シンプルさ”という爽やかな選択肢を提供します。ポートフォリオ全体をほどかずに素早くポジション調整ができます。
金利が急上昇した局面では、より高い利回りを確保するために債券ETFへ移った投資家も多くいました。相場が荒い時期には、広範なETFで分散を保ちながら、次にどの銘柄が打撃を受けるかを当てる必要がありません。こうした柔軟性こそが、ETFが多くの投資家の“出発点”になっている理由です。
リスクと留意点
もちろん、“シンプル”は“無リスク”を意味しません。ETFの中身の資産が下落すれば、ETF自体も下がります。
広く安定したものもあれば、ごく狭いニッチに焦点を当てたものもあります――範囲が狭いほど値動きは大きくなりがちです。レバレッジや複雑な戦略を用いる商品もあり、リスクは高まります。規模の小さなETFは流動性が低く、すぐに売却しにくい場合もあります。
手数料は概して低いものの、時間の経過とともにリターンを少しずつ削ります。肝心なのは中身を把握すること。分散は値動きをならしてくれますが、市況悪化を完全に遮ってくれるわけではありません。
結論
ETFは投資のやり方を一変させました。分散されたポートフォリオを、素早く、低コストで、株選びの達人でなくとも構築できるようにしてくれます。
うまく使えば、とても強力なツールです。何を買っているのかを理解し、リスクを分散し、時間に仕事をさせましょう。